もう一つの本物、EM

 私は、 自分が生ある間に 出会えるとは 予想だにしなかったものが 二つある。 一つは 私の生き方を決定づけてくれた 宮澤賢治であり、 もう一つが、その賢治が夢みて果たせなかった 理想の社会の実現を目指し、 EMを開発した 琉球大学の比嘉照夫教授である。

  EMは、 さまざまな環境問題を解決しながら 同時に 安全で多収穫な食の生産を成し遂げてしまうという 摩訶不思議で ありえようもない世界を 私達の前に現出してくれる。
  比嘉先生は その微生物の絶妙な組み合わせを考え、 世に送り出した人である。 
彼は、 微生物は混ぜないという それまでの常識を破って、 10属80種の嫌気性、好気性の微生物を 混ぜ合わせてしまった 。 これによって、 各々の役割をもった微生物が お互いに補完し合い 連動し合い、 相乗効果を出す仕組みを 彼は 確立したのである。

私は 農場で実地に EMと向き合いながら、 その見えない存在の威力に感動を覚えながら比嘉先生の 「 微生物の農業利用と環境保全  」 を読んで、 その理論を知ろうと努めた。 そして 不出来ながら、 普及したい一心で 次のようなパンフレットを作った。


パンフレットの補足

まず、 中心となるのが 嫌気性の光合成細菌群 。 これは 地球創生の頃からいて有毒ガスに満ち満ちていた地球を、 水や酸素のある 生物の住める環境に変えてくれたと言われている微生物である 。
  それ故 この微生物は、 廃棄物から出る有害な中間物質、 たとえば アンモニアや硫化水素やメタンガスなどを 自分の体に取りこんで、 有用なアミノ酸や糖に再合成する力をもっている 。 又 この微生物は、 これまでの植物が光合成する時に必要とする 太陽の波長より長い波長を活用して光合成をする能力をも有している。

 次に 好気性の窒素固定菌 。 これは 空気中の窒素を固定し 植物に窒素を供給する。 光合成細菌と、 酸素、炭酸ガスをやりとりして共存し合い、 その上 合成菌同士である。 又  EMによる水質浄化実験の際、 排水中の窒素、リンの数値が驚異的に下がったのは 反対に 窒素ガスになって 空気中に放散されたからだと推測される。

 VA菌根菌は、 地中のどこにでもいるが 化学肥料や農薬とは共生しない全くの自然派であるので、 EMの居る所には必ず集まってくる。
  植物の根に寄生して、 光合成細菌が造ったアミノ酸をもらう代わりに、 菌糸を伸ばして 地中の微量のリンや不溶性のリンを吸収して 植物に供給することができる。

 又、 乳酸菌、酵母菌といった 発酵菌群も重要である。 これらは 主に 有機質、無機質を問わず 可溶性にして 植物に吸収させる力をもっている。
  その上、 乳酸菌の出す乳酸は強い抗菌作用があると同時に 光合成細菌の基質(微生物の餌)になり、 酵母菌は、 ホルモン、ビタミン、核酸などの生理活性物質を造る働きがある。

 そして、 ある種の糸状菌、放線菌は、 浄菌効果をもち 病害虫に強い体質をつくる。


私の宮澤賢治の世界


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